造影剤使用時の医師による観察って・・・

今日はネーベン先で当直です。下腹部痛の患者さんが来たので、腹部大動脈瘤などの除外のため造影CT撮影を施行しました。

すると、この病院では撮影中ずっと検査室に入って患者のそばについているとのこと。えっ・・・被曝するやん

「そばにいる」、聞こえはいいが、私はこれ絶対反対派です。今勤めている大学病院の救急部でも同じようなことやっています。しかも人工呼吸器がついている患者では単純CTでも立ち会うので意味がわかりません。検査中だけでいいから簡易型の人工呼吸器に付け替えればいい。ずっと医師がアンビューバックを押し続ける必要はないと思うのですが・・・

造影CTを行う際に医師や看護師が立ち会う理由は主に2つです。造影剤が急速に静注されるので血管漏れを起こす可能性がある、もうひとつは造影剤によるアレルギー、これらに迅速に対処するためです。

血管漏れのことがあるので最初の数秒はそばにいてもいいと思いますが、血管漏れがなければ即座に退室し、操作室で待機すべきです。そもそも操作室に検査室が見えるモニターとかありますし。

今日は数秒だけ血管を触れて確認し、即座に操作室へ避難しました。これで何の問題もないと思います。

なぜ私がここにこだわり、また腹が立っているかというと、理由は2つあります。ひとつはCT被曝が単純レントゲン撮影とは異なり、放射線量が多いということ、もうひとつは医療従事者の犠牲心が当たり前になり周囲に無言の圧力をかけていることです。

まず線量ですが、以下の図がわかりやすいと思います。

http://blog.rakuwa.or.jp/rkk/archives/279より抜粋

胸部単純レントゲンは0.3mSv, CTはだいたい7mSvです。そしてガンのリスクがあると言われているのは200mSvを超えたあたりからです。つまり、毎回検査室に入って患者さんのそばにいると30回も付き添えばアウトです。大学の救急では人工呼吸器をつけている患者さんが多いので、毎回付き添う医師が重なると年間で30回は余裕で超えますね。しかもこれを不思議と誰もおかしいと思っていない。看護師に意見を聞いて、「医者ですからねぇ。。。」と言われて、心で悲鳴をあげた。

ん〜、私の感覚がおかしいだけですかね。整形外科の手術ではよく透視を使うので被曝はつきものですが、極力放射線を浴びる量を少なくするように努めています。プロテクターで体幹は守れても四肢、顔面はむき出しですからね。

たまに爪に黒い筋が入っている整形外科医がいますが、たいてい脊椎外科医か、手の外科医です。メラノーマの初期に似ている症状なので笑えません^^;

タイのキャダバーへ行ってました

どーも、ku-manです。油断するとすぐにブログが止まってしまいますね^^;  風邪を引いてしまい、何もかもが手付かずでした。

9/7-9(日)の3日間、キャダバートレーニングのためタイへ行ってました。キャダバートレーニングとは、実際に御遺体を解剖して勉強するという手技向上のためのトレーニングです。

今回は大学の関連病院ばかりでのトレーニングですが、参加8人に対して御遺体が5体もあるという超贅沢な環境で勉強できました。

働きだしてからキャダバートレーニングは5回目でしたが、臨床経験を積むにつれて、キャダバーにおける技術習得練度が上がっているような気がします。

こたびの目的は①骨盤・寛骨臼骨折では必須のIlioinguinal approachとKocher langenbeck approach、②THAにおけるALS、③骨頭骨折に対するSmith-Peterson approach、④肩甲骨骨折に対するBrodsky approachでしたが、いずれも自分の中で納得して習得できたと思っています。特に、Ilioinguinal approachとKocher langenbeck approachに関しては、実臨床でわかりにくかったところを我らがO川先生やS田先生から細やかに指導いただき、かなり消化できたので大満足でした。早くオペしたい!(あぶねえ人だ(^◇^;))

①上がIlioinguinal approachと下がKocher langenbeck approach

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AO Foundationのサイトはわかりやすいですね、ほぼ全ての骨折のアプローチが掲載されているので非常に助かります。最後の肩甲骨のアプローチはここまで三角筋を切らなくても肩関節を前方屈曲しておけば三角筋後方から進入可能です。

 

救急車をタクシー代わりに

今日は開業医での当直をさせていただいているんですが、来てしまいました。

「救急車をタクシー代わりに」する患者さんが・・・

いわゆる市民病院や県立病院などの基幹病院ではとうてい受け入れてもらえない患者さんの一部は開業医に流れます。そして、上記のようなモラルの少ない患者さんも多い印象です。搬送されてしまったら、もうどうしようもないのですが、現場での救急隊の方の気苦労も大変なものと察します。

そこで調べてみました。本当に「救急車をタクシー代わりに」して、法的な問題がないのかを。

以下は弁護士:福永活也さんの記事(2017年)を引用しています。

そもそも救急車の利用が予定されているのはどういう人?

救急車は、消防機関による救急業務に用いられる車両のことを言いますが、救急業務とは、一定の傷病者について、救急隊によって医療機関等に搬送することを言います。

そして、救急車の利用が予定されている傷病者とは、以下のとおり法律で規定されています(消防法第2条第9号、消防法施行令第42条)。

  1. 災害により生じた事故による傷病者
  2. 屋外・公衆の出入りする場所において生じた事故による傷病者
  3. 屋内において生じた事故による傷病者、または、生命に危険を及ぼすような状況にある疾病による傷病者で、かつ、これらの傷病者を医療機関等に迅速に搬送するための適切な手段がない傷病者

さらに、以上の1~3のいずれかに該当することに加えて、医療機関等に緊急に搬送する必要がある傷病者

とされています。

こういった法律上の決まりを厳格に知っている人はあまりいないと思いますが(私も、今回初めて勉強しました)、法的には、救急車を利用するためには、医療機関等に緊急に搬送する必要性がある場合と定められていますし、特に、屋内の事故等の場合には、救急車以外に適切な手段がないことも要件とされています。

では上記の要件に該当しない傷病者のために救急車を呼んでしまった場合の法的責任は?

そもそも専門家でもない一般人が、一定の緊急性を要する状況において、上記の難しい要件を理解した上で、救急車を呼ぶかどうかを判断することは難しく、基本的には何らかの法的責任に問われることはないでしょう。

ただし、これは救急車を呼んだ本人に、何ら悪質な意図がなかった場合であって、もし傷病者が救急車を呼ぶほどの状況ではないことがはっきりとわかっていたにもかかわらず、敢えてタクシー代わりに呼んだような場合には、以下の法的責任に問われる可能性があります。

1.消防法違反(消防法第44条第20号)

正当な理由がなく、傷病者の状況について虚偽の通報をした者には、30万円以下の罰金または拘留が科されます(拘留とは、1日以上30日未満の範囲で刑事施設に拘置する刑罰)。

2.軽犯罪法違反(軽犯罪法第1条第16号)

虚偽の災害の事実を公務員に申し出た者には、拘留または科料が科されます(科料とは、1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰)。

3.偽計業務妨害罪(刑法第233条)

かなり悪質なケースであれば、消防機関の適正な業務を虚偽の通報により妨害するものとして、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

 

ん〜、つまりよっぽど明らかに悪質じゃないと、処罰を受けないということですね。そもそも誰が訴え出るのかという話にもなりますし。救急隊の方は、忙しいし、わざわざ法的責任を問うて、時間を割いたりはしないでしょうし、病院側も同じでしょうね。となれば、その時だけ我慢してやり過ごすしかないのでしょうか。

解決策としては、救急搬送後に病院側が本当に緊急性があったかどうかを判断し、緊急性がなければ、消防局に伝えて、市の方から救急車利用の請求書が届くようにする。もしくは、救急車自体、緊急性の有無にかかわらず、有料にする。この場合の有料とは5千円〜1万円程度でしょうか。タクシーよりも安い料金だと、お金も払っていることから堂々とタクシー代わりにされそうなので。

ただ、付け加えておきたいのは、悪質な救急利用をしている人はごく一部。